2021/09/30

横浜DeNAベイスターズ プロスペクトランキング2021

 
 
今年もやってきましたプロスペクトランキングの時期です。
ラミレスの長期政権が終演を迎え井納、梶谷といった選手がFAで移籍した影響かプロスペクトランキング常連だった選手たちの多くがプロスペクトを卒業し1軍戦力となっていきました。
チームとしては喜ばしいながらもプロスペクトランキングの層が薄くなるのは若手厨としては寂しさも覚えます。
前置きはここらへんにしてプロスペクトランキングやっていきましょう。まずは卒業生の紹介から
 
なお、 ランキング、注目度は全て私の主観好みで決めています。
 
 
※カッコ内は前回順位
 
 
 
誇り高き卒業生たち
 
 
前1位 楠本泰史 26歳 外一
花咲徳栄高 - 東北福祉大 ドラフト8位
 
 
今季1軍成績 .288(64打席) 2本 9点 12三振 OPS.767
巧5 長3 足3 肩3 守2
 
世界最高水準の好打力を誇る天才打者。その洗練された美しいフォームは侍の様。
イチロークラスの能力を持ちながら長らく一軍で結果を出すことができなかったが、今年ついに開眼。天才すぎて常人には理解が及ばなかったアプローチに理論が伴ったことで能力と結果を兼ね備えた最強打者に成長した。
惜しむらくは俊足を持ちながらセンターを任せるには頼りない守備力だろう。
 
 
前3位 京山将弥 23歳 先
近江高 ドラフト4位
 
今季1軍成績 12試合 2勝 5敗 55.2回 4.53 54奪三振 32四球
今季2軍成績 11試合 3勝 4敗 61回 2.36 55奪三振 17四球
速5 威4 制3 変4

抜群の指先の感覚の良さと平均球速148kmという球威が持ち味の滋賀が産んだ至宝。
前年の記事でもっとストレートを投げろと言った甲斐があり(?)前年30%だったストレートの投球割合が46%まで拡大。
ピッチングに軸ができたことでカウントも取りやすくなり多彩な球種も活きるようになった。
1軍の先発ローテーションを担っておりついにプロスペクト卒業へ。与四球率 5.17は昨年より大幅に悪化しているが投げていく中で修正して欲しい。
 
 
 
前圏外 関根大気 26歳 外
東邦高 ドラフト5位
 
 
今季1軍成績 .217(129打席) 1本 3点 25三振 OPS.570
巧3 長3 足4 肩3 守3
 
1軍の控え要員として戦力化。 ルーキー年からの期待値からすると現在位置は物足りない。
三浦大輔監督がスモールベースボールを求めたことで現在1軍に足りない小技でも何でもやる外野手として1軍に抜擢。
しかし守備、走塁が素晴らしく良いというわけでもなく、打撃面でもスタメンでは物足りなさが露呈してしまい、肝心のバント技術も決まらないセーフティバントと平凡な犠打技術と全てにおいて物足りない選手になってしまったという印象が拭えない。

スペシャリストとして生きていくならもっと高い次元の守備走塁、バント技術が求められるし、レギュラーを目指すなら今の打撃力、ひいては粘ってなんとか球数を稼ごうとするゴキヒッター路線では難しいだろう。ゴキヒット路線にしても高いレベルの物は感じない。全てにおいて中途半端だ。
 
あれもこれもしたいという思いから中途半端になっている印象が拭えない。
この選手に求めたいのはやはりイチローのような俊足を活かした正統派の左の好打者路線だろう。


前10位 山本祐大 23歳 捕
京都翔英高(甲)-BCリーグ・滋賀 2017年ドラフト9位
 
今季1軍成績 .134(90打席) 1本 3点 22三振
巧3 長3 足3 肩5 守4

大阪で生まれ京都で育ち滋賀の地からプロに飛び立った関西の混血児。滋賀の独立リーグ球団を救い新リーグ創設の切っ掛けにもなった独立リーグ界における偉人。
 
1軍の捕手層が薄い関係で捕手では伊藤光に次ぐ起用回数を得ている。
なんと言っても最大の特徴は肩の強さ。スローイングの安定感も年々増しており甲斐拓也と遜色がない送球で進塁を抑止している。
打率は1割台前半と苦戦しているが、捕手としては打撃技術は高い水準にあり実際ハードな打球を打って正面に飛んでいるパターンが目立つ。
今は捕手として試合を作るのに一杯一杯だろうが、野手のいないところにボールを落とす技術を身に付けられれば守備と打撃を兼ね備えた次代の正捕手として台頭できるだろう。 

リード面は若さが出ることもあるが強気、弱気のバランスが良く現状では伊藤光よりも信頼が置ける。フレーミングも上々で既に伊藤光、戸柱と並び立つだけの実力は十分ある。若さでここから抜け出せるか。
 
 



プロスペクトランキング2021

 
1位(2位) 森敬斗 19歳 遊
桐蔭学園高 ドラフト1位
今季1軍成績 .181(79打席) 0本 4点 22三振 OPS.467
今季2軍成績 .255(297打席) 6本 29点 74三振 OPS.670
巧3 長3 足5 肩5 守5 

全てにおいて規格外のパフォーマンスを魅せる超弩級遊撃手。
前回の記事で早く外野手に転向しろ! という、今思い返すと恥ずかしいことを言ってましたが予想以上に攻守での成長力が高く意見を翻さざるを得なくなりました。
打撃も守備も超積極的で勢いに乗ってる時は良いものの脆さが出るため三振、エラーも相変わらず派手にやらかしがち。
ただここまでの成長速度と本人の意識の高さを見ていると2、3年後には粗さも克服できそうな期待感があります。
そのためにも1軍のベンチで浸けている現状は望ましくなく、使うなら使う、使わないなら2軍に落として使うで出場機会を与えて成長を促したいところ。
 
タイプは全く違いますが、個人的には立浪のような打撃成績でホームランではなくツーベース、スリーベースで長打を量産するタイプをイメージしています。
 
 

 
2位(7位) 阪口皓亮 22歳 投(先)
北海高 ドラフト3位
 
 
今季1軍成績 8試合 2勝 3敗 35回 4.11 18奪三振 19四球
今季2軍成績 6試合 1勝 1敗 24回 1.50 17奪三振 5四球
速5 威3 制3 変4
 
身長186cmから投げ下ろす球は角度がありスケールの大きさを感じさせられる大型投手。
所謂投げてる球の割になんか打たれる系の投手であり最速154km、平均147kmの高出力を誇る割になんか打たれてしまう。
 
今年は投げてる球の凄さに成績が釣り合うようになってきた。なんと言っても投手らしいふてぶてしいマウンド捌きがよく似合う。メンタルの強さが挙動からも伺える。
球種別の数字を見ると変化球のほとんどは被打率1割台ながらストレートの被打率が.351と課題はハッキリしている。
ここから更に球速を上げて一段階上のピッチングに進化すれば京山と共に横浜右のWエースとしての青写真が描ける……と思っていたら右肘のクリーニング手術で今季絶望となってしまった。 
 
故障とはいえ横浜は今季が捨てシーズンのため若手選手がこぞってクリーニング手術をしており、深刻度は低く見積もれるのでこの高い順位となった。



3位(新)   小深田大地  18歳 三一
 
今季2軍成績 .218(354打席) 4本 42点 104三振 OPS.620
巧5 長5 足1 肩4 守2
 
1年生から強豪履正社でレギュラーを努めた野球エリート。
豪快なスイングから一見粗い大砲系のようにも見えるが実際は高い対応力と好打力を併せ持つ吉田正尚、森友哉のようなフルスイング巧打系。
豪快な一発の後に低めの変化球を掬って安打にする技術を見せられた者は皆メロメロ。
高卒1年目ながら2軍でも4番を任せられるなど現場からの期待も大きい。ここまで42打点を稼ぎ出した勝負強さも魅力的。
鈍足だが強肩を活かした三塁守備は破綻しておらず宮崎の後継サード候補の最右翼だ。
 
 
 
 
4位(新)   入江大生  23歳 投(先中抑)
明治大学 ドラフト1位
今季1軍成績 4試合 0勝 4敗 18.1回 7.85 14奪三振 5四球
今季2軍成績 3試合 0勝 2敗 6回 6.00 7奪三振 4四球
速5 威3 制3 変3
 
エースの今井達也を擁する作新学院の4番打者として3試合連続本塁打を放つなど豪打でチームを牽引し全国優勝に導いたスラッガー。
何故か投手として入団してきた。
 
平均147kmのスピードに三振が取れる変化球は十分だが腕の回転が典型的な縦型で縦スライダー、フォークを主軸とするため先発投手としてやっていくにはカウント球や奥行き、緩急に致命的に欠けるため即戦力を期待されながらも結果を出せずクリーニング手術軍団の一員となってしまった。

球種別成績を見てもストレートの空振り率は7.5%とかなり高い水準にあり、他の変化球も悪くはない。実際の投球を見てもフォークの落ちは一級品だ。ドラフト前に期待されていた縦スライダーは何故かあまり投げなくなってしまったのは疑問点。
 
コントロールも破綻しておらず、リリーフで運用すれば通用してない球種を切り捨ててストレート、縦スラ、フォークの実質2ピッチが可能で早い段階での戦力化は可能だろう。
逆に首脳陣が先発起用に拘るようなら投球スタイルから見直す必要があるので時間がかかりそう。
 
 

5位(10位) 櫻井周斗 22歳 中
日大三高(甲) ドラフト5位
今季1軍成績 25試合 0勝 0敗 35.1回 3.31 33奪三振 24四球
今季2軍成績 15試合 1勝 1敗 25.2回 2.45 24奪三振 11四球
速4 威3 制2 変4

ノーコンながら150kmオーバーの球速から威力の高い変化球で三振を奪う教科書通りのパワーレフティ。
いかんせんノーコンなので投球は安定しないがツボにハマった時の球威はピカイチ。左で投げる国吉、劣化版エスコバーと言い換えられるかもしれない。
高校時代清宮から5三振を奪ったスライダーはほとんど投げなくなりカットボール、ナックルカーブ、ツーシームの3球種が現在のメイン球種。
個人的には三振が取れるスライダー、チェンジアップを主体にしてほしかったが、ナックルカーブは全球種で最多の奪三振を奪い被打率.143と最大の武器になっている。ほぼ全ての変化球で高い空振り率を誇っており更なる高速化や安定感が増せば面白い投手だろう。四球でランナーを出しても簡単に崩れない図太いメンタルも持っている。
 
 
6位(6位) 細川成也 23歳 外
明秀学園日立高 ドラフト5位
今季1軍成績 .172(33打席) 0本 0点 8三振 OPS.445
今季2軍成績 .270(209打席) 14本 30点 39三振 OPS.919
巧2 長5 足4 肩5 守1
 
圧倒的な筋量を誇るハマの最終兵器。
今季は外国人不在の影響もあって開幕から1軍で起用されたが依然のような豪快で実践的なスイングは鳴りを潜め情けないスイングでボテボテゴロを量産する情けない打席を繰り返し醜態を晒した。
ただ2軍では常に多かった三振が今季は劇的に改善傾向にあり、1軍での情けないボテボテゴロ量産スイングは進化の途中の形態と前向きに捉えたい。 
歩みは遅いながらも毎年着実に進化しており、2軍成績も昨季より良化した。1軍での情けない姿を繰り返さなければ次代の大砲の期待感は変わらない。
 
打撃面は着実に成長を果たしているが、守備面は18歳の頃から全く成長が見られない。
足も肩も○でフィジカルは強いのだからこの部分でも成長を見せて欲しいところ。 
 
 
7位(新) 髙田琢登 19歳 先
静岡商業 ドラフト6位

今永のような出処の見辛いフォームから完成度の高いピッチングを見せる好左腕。
2軍での初登板で爪痕を残したがその後すぐに左肩のクリーニング手術を受けることに。
肩の手術ということで不安は残るが、無事復帰を果たした今永の前例を見て手術に踏み切ったのだと思いたい。
 
同じ左腕で横浜高校出身の同期3位松本隆之介と比べられることも多いが、188cmの松本と比べて177cmの高田はスケールでは大きく劣るものの完成度と実戦性では遥かに勝る。
そもそも左腕にスケールは必要なく、コントロールの難易度が上がることも考慮すると過度な体格はむしろ余分とすらいえる。

松本も2軍でイニングの倍三振を奪うなど球威の高さは出色だが制球面やメンタルなど欠点が致命的で私は高田の方を評価したい。
 
松本は「手も足も出ない投球をしたい」というのが信条らしい。これは残念ながら左腕の思考法ではない。高田や今永を見て考えを改めてほしい。
 
 
 
8位(8位) 蝦名達夫 24歳 外(一)
青森商高-青森大 ドラフト6位
 
今季1軍成績 .167(21打席) 0本 1点 7三振 OPS.452
今季2軍成績 .307(276打席) 8本 38点 65三振 OPS.877
巧3 長4 足4 肩4 守3
 
よく比較される楠本、佐野ほどの打撃センスは感じないがやはりこの選手はよく打つ。他球団なら1.5軍級の選手として出られるだろうが横浜の外野陣で出場機会を得ようと思ったら2軍で打率.360は求めたいところ。
 
1軍では見逃し三振を連発する情けない姿を披露。積極性のなさには不満が溜まる。
 
やたら打てるせいで打撃型の印象があるが本質的には足と肩の選手。守備力も問題なしと一定水準でまとまっている。
このクラスの選手を飼い殺すのも忍びないのでトレードも視野に入れるべきかもしれない。
 
 
 
 

 
 


 
9位(4位) 伊藤裕季也 25歳 二三一(外)
日大三高-立正大 ドラフト2位
 
今季1軍成績 .000(3打席) 0本 0点 1三振 OPS.000
今季2軍成績 .227(304打席) 8本 35点 56三振 OPS.649
 
立正大のイケメンキャプテンも3年目となりなんとほぼ全ての2軍成績が昨年より悪化。OPSも1.0下がるという絶望的な結果に。実戦の打撃を見てもスイングに1年目1軍で見せたようなパワフルさと技術が全く見られずむしろ衰えているようにも感じたほど。

三振数は減っているのでプロの世界に入ったことでかつての積極性が失われているのかと疑わざるを得ない。
パワーは依然としてある方ですが1年目に304打席で14本塁打を放ったことを考えればこの数字は厳しい視点で見ざるを得ない。
打撃面ではほとんど向上が見られないながらも守備面では確実に上達を見せており二塁守備は一軍で使っても問題ないレベルまで技術が底上げされてきた。

しかしその上手くなった伊藤裕季也と同等レベルに守備ができ、より打てる牧が加入したことでより起用は厳しく。そもそも伊藤裕季也に求めているものは守備ではない。
 
かつてのプロスペクトランキング2位ということもあり個人的にも期待したいですが、正直ここまで打撃に魅力がなくなった選手の打棒が復活した例をあまり知らないので評価は大幅に下げました。 1年目のスイングは本当に魅力的だっただけにその輝きを取り戻せるか。
 
 
 
10位(5位) 田部隼人 19歳 遊三二
開星高 ドラフト5位

今季1軍成績 -
今季2軍成績 .187(306打席) 2本 26点 79三振 OPS.510
 
高卒2年目離れしたふてぶてしさが光る184cmの大型内野手。
昨季はプロスペクトランキング5位と期待をかけたが今年は2軍で多く起用されたせいかほぼ全ての成績が降下し危険水域に。
守備は酷く打撃でアピールしなければならない選手だけにこの成績は厳しい。
コンタクト力は高く成績が低迷しながらも三振数は多くないのが光明か。優先的に打席を与えられていることから首脳陣からもまだ期待されている。来年は長打力と守備力の向上を見せてほしい。