2025/04/13

「牛」について解説記事

 
 
 
 まずは皆さんこちらの絵を見ていただきたい。
さっき描きました。
 
ジュリアちゃんラブリー路線


可愛いですか? 可愛いと思いますよね。
そう言ってほしい。
さもなくば私はあなたの何かを保証できない。


さて、この絵を見て皆さんはどう思いましたか?
私は、「牛」やな、と思いました。


 


 萌え絵に好影響をもたらす要素を分解した時、「牛」「真理」「アタックトリガー」の3種類の要素があることが近年(さっき)の研究で明らかになっています。

この3つの要素を意図的に操作することで、狙いに近い絵を描けるようになる。という理屈です。

兎にも角にもまずは牛の説明をさせてください。
 
 
 
 
 結論から言うと牛とは「可愛さのグレードアップに寄与する要素全て」です。
萌え絵は目の配置、輪郭、髪の描画、眉、描き込み、口の形、それらに付随する表情などあらゆる要素を以て可愛さのグレードアップを試みます。

その試みるという行為、あるいは試みた形跡全てを内包して「牛」と呼びます。

閑話休題
なんでこんな変な言い方をしているのかというと、既存の言葉で言語化するとそれは柔軟さを失ってしまい、本来表現できたはずの奥行きがなくなってしまうので、より広義的な意味合いを失わないように敢えて全く無関係の言葉で言語化しています。
 
閑話終わり


「牛」「真理」「アタックトリガー」の3要素の中で、牛は土台の役割を果たします。最も重要な要素であると言っていいでしょう。

「牛」は単体で成立します。
例えば先程の絵は牛の要素しかありません。牛に注力して描かれています(まー私の絵は大体全部そーですが)
アタックトリガーや真理は絵を補強するサポート的な要素なので、それだけで成立させることは難しいです(不可能ではない)

「牛」は概念なので、完成途上の絵を見て、牛が足りていないなという判断に至ればあらゆる手段を講じて牛をやります。
牛は単体で成立するので、牛があるのに絵が微妙……ということは中々ありません。
基本的に萌え絵を描くというのは牛を求め続ける行為となります。
牛をひたすらやり続けることで、萌え絵に「可愛い」が宿るようになっていきます。これは無意識でやってる人が多いでしょう。
それに名前をつけて意識して行うのが「牛」
 
 


真理について


真理は専門外というか今まで逃げ続けてきた分野なので軽く触りだけ紹介します。
真理とは「シチュエーション/コンセプト」です。


例えば「牛」に特化したこの絵には真理が一切ありません。
一応この絵には
「ジュリアちゃんがオシャレして、プロデューサーとデートの待ち合わせをしている」
 
という背景がありますが、それが受け手に伝わることはないでしょう。
白背景だし、伝えようとする努力を放棄しているし……。

このシチュエーション/コンセプト性と、それらを伝える為の工程をまとめて「真理」と呼びます。最近自分の中でハガレンブームがプチ再燃してます。

この絵に真理を加えようとした場合、「ジュリアちゃんがオシャレして、プロデューサーとデートの待ち合わせをしている」というコンセプトを伝える為には。

「街の鏡の前で髪型のチェックをする」
「駅前の背景などを描く」
「文章や台詞でシチュエーションを説明する」


などの補強が必要でしょうか。想像するだけでカロリーが多すぎてイヤになっちゃいますね。私は絵を描く前にカロリーを計算してそれが多い場合は逃げるタイプのカスなので真理とは相性が悪いです。
(しかし、いつかこの道に進まなくちゃいけない時がくるかもしれないんだ…(ドキドキ二択クイズ))

真理があると絵がグッと消化しやすくなるので、カロリーをあまり増やさずに真理を獲得できる方法を考えていきたいですね。

 
アタックトリガーについて


これはさっき思いついた要素です。
基本的に強力な絵には強力なアタックトリガーが装備されていることが多いです。
アタックトリガーとは「絵の攻撃力」と言い換えられます。
以前私は攻撃力理論という、ザックリ言うと「キャンバスの中で役をしていない部分を極力削ることで絵の攻撃力を上げる」という理論を提唱しました。
https://millionfire.blogspot.com/2024/03/32.html

今思うと低レベルな理論なのですが、発想はこれに近しいものがあり、それを実践的にバージョンアップしたものです。
 
 
 
 こういうのは自分の絵を貼るべきなのですが、私はアタックトリガーが出来ていないので人の絵を紹介させてください。
 
 この絵は極めて強力なアタックトリガーを数多く装備した究極のアタックトリガー絵です。
私の理想に近い絵ですし、本当に素晴らしいです。

この絵でアタックトリガーの役割を果たしているのは

「紅潮した顔、フキダシ、ハート」
「スクール水着」
「デカすぎるハミ乳」
「おへそや腰回りのやらしい塗りと輪郭」
「太い太もも」


などでしょうか。5点以上ものアタックトリガーを装備しており、その質も全てが最上級です。神。気付きにくいですがほくろもエッチですね。

この絵のアタックトリガーは大多数が肉感的なセクシー表現ですが、そうでないアタックトリガーもあります。
例えば

「服のセンスが良くオシャレ(メイドやバニーもここに該当する)」
「髪や手が繊細で美しい」
「好きなキャラだ(二次創作)」
「ロリ巨乳だ」

 
など、とにかく絵に「良さ」を添加できているものがアタックトリガーです。
シチュエーションやコンセプトが良さになることが多いので、真理と被る部分もありますね。

アタックトリガーは多ければ多いほど良いですが、1個でも十分役をします。ただし、その1個が強力でなければ絵の火力は落ちます(バズりや受けが目的で無いなら別にそれでいい)




3度目になりますが同じ絵を貼ります。
この絵は「服が可愛い」という狙いが唯一のアタックトリガーになっていますが、作者の画力が足りてなくて服を見栄え良く描画できてないですし、そもそも上半身で切れてるのでアタックトリガーの打点があまり高くありません。

一応「おっぱいを盛っている」という部分もアタックトリガーにならないかな~~とあわよくば狙っていましたが、直接的にそれが攻撃力に繋がってるということはなさそうです。

なので、この絵のアタックトリガーを強化するとしたら

「よりおっぱいを一目で分かる大きさまで盛る」
「下半身まで描いてファッション性をアピールする」
「服の描写のレベルを上げる」


などでしょうか。おっぱいをクソデカくするのは今からでも出来ますが、攻撃力が上がる代わりに防御力が著しく落ちるので今回の絵に適した処方とは言い難いでしょう。

全身を描くのは単純にカロリーが2倍以上に跳ね上がるのでしんどいです。
この絵はローコストで描けるから軽い気持ちで作ろうという、カービィのエアライドと同じ制作背景があるのでコストが上がるのは本末転倒。

描写のレベルを上げるのは頑張りますが、シンプルに筋トレなので辛いぜ。
 
 


とまあ、決定的なアップグレード案は見つからないものの、絵の良さを発揮してる部分を「アタックトリガー」と定義し言語化したことで、
 
「どこにコストをかければ良くなるか」
「今回はコストをかけたくないので妥協をする」
 
という判断が可視化できるようなりました。これが最も大きい効果ですね。描写の筋トレは頑張ります。






以上が「牛」「真理」「アタックトリガー」の説明です。
いかがだったでしょうか?

 
 
 
 これまで書いてきたことを端的に言語化するとこの図になります。分かりやすいですね。
今までの話は一体何だったのでしょう。
でも明暗とか色価とか言われてもピンと来ません。そもそも要素が多すぎて、これらを実践の中で噛み砕いて意識するのは難しいです。

故に、「牛」というオリジナルの呼称が必要だった。
名前をつけたことで、今まで無意識だったものが意識できるようになった。
そこに牛の意味があるのです。