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2023/11/01

AIを自作イラストのアップグレードに使う

 
 色々あるAI。昨今アドビだのがなんだのがドシドシやってくるようになってすっかり大企業のシノギという感じですが、有料AIには忌避感を抱くが無料のAIは使い倒してやろうというのが私のスタンスです。(Google画像検索と同じだね)
 
しかしAIイラストはポン出しして遊んだり人に嫌がらせをする分には簡単に出せる分、自作イラストのアップグレードに使おうとするとどうにも難しい、というか役に立たない。
現状自作イラストのアップグレードに使える「簡単な」方法はほぼゼロである、と言い切ってしまっていいと思います。 
 
現状唯一、AIを自作絵に活用できる方法は「自分の絵をi2iに食わせて出てきた絵を参考にする」ではないかと思います。この方法自体はAIが出てきたかなり初期に提唱され、実践もされてきましたがイマイチ浸透してる感じがありません。(i2iがなんぞやという人はStableDiffusionの説明をしてるブログを読めば大体分かります。要するに元の絵を参考に絵を出力するシステムです。)
 
というのも元々絵の方式を確立させてる先生にとってはほぼ使う価値がなく、使えるレベルのイラスト2年生はやたらAIを忌避する、あるいは批判されるのでしばらくAIはやめておこうとする人が多いです(賢明な判断だと思います)
そもそもAIに法的リスクはほぼないのですが、自作イラストをi2iに食わせて出力を参考にするのはほぼノーリスクではないかと思います。第三者のイラストを(数値を近づけて)i2iするのは問題が多いのでやめましょう。
 
 前置きが長くなりましたがとりあえずやっていきます。
 
 
 1・ラフを描く
 
残念ながら絵というのはラフを描かないと作れません。
本当にイヤなのですが渋々やりましょう。あー、嫌だ。嫌だ。
AIイラストを叩き台にしてラフを作る、というのもアリかもしれませんが、AIイラストの細部というのはパッと見問題なく見えても死ぬほど歪んでるのでオススメしません。
体感ですがラフは自分で描いた方が(どんなに自分の絵がAIに比べて劣っていても)良くなる確率が高いです。なんか赤文字で指示が書いてありますが無視してください。
 

 2・線画にする
 
 残念ながら絵というのは(ry
 愚痴愚痴言いながらやりましょう。ラフの良さを消すのがイヤでこの時はラフのレイヤーを直接弄る形で線画にしてます。そのお陰で線画にしてはそんなにラフの良さが消えてないような気がします。
ただ、ここで一つミスをやりました。ラフを雑に描くために解像度をグッと下げてたせいでこのままでは色が塗れません。

渋々解像度を拡大して、また線が太い絵は素人臭く見えるというプロの意見を真に受けて(実際自分の絵は線が太くて素人臭く見えるところが多い)ウンと線を細くしてみたのですがこれがラフの良さを全部消してしまいました。
次からは気をつけます。あと完成してから気付いたので直しませんでしたが服の向き間違えてます。これは最初は正しい向きでやってたのですが、間違えてることに気付いてわざわざ全部消して直したら実はそれが間違えていて最初の方向が正しかったというミスです。ワハハ
 
 
3・色塗る

 
色を塗りました。色塗り嫌い。
ちゃんと塗ったわけではなくある程度描けるところを描いたって感じです。
ここまでやった段階である程度達成感があり、個人的にはもうこれで完成でええやんとすら思いますがここから粘れるかどうかで絵の完成度って変わってくる気がします。
今回はこのもうひと踏ん張りにAIを使います。
 
 
4・AIでガシャーン
 

StableDiffusionのブラウザ版を起動してi2iで自分の絵を食わせます。
i2iだけでは参考にするレベルの絵は出てこないのでまずRoRA(今はLyCORISっていう)を使ってキャラ似せます。今回はウマ娘というビッグコンテンツのキャラなのでLORAがありましたが、別になくてもキャラが似るだけなのであまり関係はないと思います。その場合girlなどの性別や胸のサイズ、金髪ならGold hair などの指定は必要でしょう。

今回はLORAがあるのでそれ以外の指定分は何も入れませんでした。
ネガティブプロンプトは(worst quality, low quality:1.4)、日本語に翻訳すると「ほな、きばりや」というキーワードだけ入れています。
 
サンプリング方法はなんとなく良いと言われているDPM++2M Karras
サイズは元のイラストサイズに合わせて、 ノイズ除去強度は色々と試した結果0.45~前後が一番元絵に近く変更も効かせた絵を出力してくれる感じがありました。
 
モデルは自分の好みに一番近いやつを選ぶのが良いと思います。私はCounterfeit-V2.5の大陸系っぽい塗りが大好きなのでそれを使ってます。
 

10枚ぐらい出力したやつの中から参考にするために抜粋したのがコレ。
100枚ぐらい生成すればもっと良いのも出るかもしれませんが労力に見合わなさそうなのでしてません。
細部はグチャグチャなものの、全体の印象感は流石AIはんやでという感じでこれと見比べると自分の絵がカスに見えてきちゃいますね。ワハハ。
 
この絵をピュアレフなどのビューワーソフトを使ってじっくり眺めて、そこに使われてるエッセンスをパクって抜き出していきます。
完成品がこちら。比較しやすいようにAI使用前と並べておきます。
 
 
 修正点ですがまずおっぱいの塗りを死ぬほど頑張りました。AIの作品から丸パクリしてるところも多いです。下の肌が見えてたほうがいいなと思ったので見栄え重視で原作よりインナーを大分縮小しました。
 
左腕あたりの服の質感とか機械っぽい感じが修正前は雑すぎる、というより質感の要素が何もなさすぎたのでそこも頑張りました。と言ってもまだまだ甘さが残ってる感じで、ここは自分の課題だと思います。
 
そしてこれが最も大きな変更点ですが顔を一気に縮小しました。AIイラストと比較するまで自分の絵が面長になっていたことに全く気が付いていなかったのですね。
顔の下の部分をそのまま上げたので首が長くなってしまってますが、ここまでの作業でレイヤー数が膨大になりすぎていたので修正するとどっかが歪む有様で渋々放置しています。
これはあんまりよくないね。

また目のハイライトを増やしてます。これもAIから着想を得ました。目のハイライトって多ければ多いほど可愛い気がしています。
あとは順なりに手を入れただけですが、この「手を入れる」段階でもAIイラストがある種の目印になるのでやりやすかったです。


・まとめ
というわけで自分の絵にi2iを使う形でAIを活用しましたが個人的にはかなり助かりました。
特に細部の描き込み感は全くどうすればいいのかすら分からなかったので、手がかりが目の前にあるというのはとてもやりやすかったです。

また顔が面長になりすぎているような自分では気付けない絵の歪みを客観的に矯正してくれるのも助かりました。AIは細部の描き込みやデッサンの整いは酷いもんですが、顔のサイズ感や全体の構成力は他の追随を許さない性能があるので大いに参考にしてよいと思います。
 
反省点としては線画を作ってからだと修正がかなり大変なので、できればカラーラフの段階でAIに投げて修正をやっておくと後が早いなと思いました。
ただ、カラーラフの段階だと謎のイケそう感があって気持ち的にAIに頼りたくないという感情が出てくるのでここは割り切らないと難しそう。
最初からAIに頼り切りになるのもそれはそれで雑味や良さが消えるので控えるべきかなぁと思います。
 



PS
この絵は3日で仕上げるつもりが2周間かかりました。
時間がかかった理由はAIではなく、途中でなんか良い感じがしなくなったのがイヤで、イヤな絵を仕上げるのがイヤになって作業出来なかったからです。 (これは全人類の絵が完成しない理由ナンバーワンではないだろうか)
AIを使わなければこの絵は永遠に完成しなかったと思います。
 
AI技術は悪用されることも多いですが、作業の途中でなんか良い感じがしなくなった絵を客観的に修正できて、完成まで持っていける。
 
これが出来るなら自分はAI技術はイラストをやろうとする人間にとって素晴らしい技術だと思います。
(でも、大企業の金儲けはNGというスタンスで、しばらくはよろしくねぇ)