SSP指数とは私が開発、運用している競馬予想をアシストするための指数である。
本記事ではSSP指数について解説、補足を行いたいと思う。
なお、SSPとはSS(接戦)P(ポイント)の略であり、競馬予想で度々用いられるスピード指数とは何ら関係が無い。
SSP指数は競馬なんて誰がどう予想しても能力評価は大体同じという哲学を元に発明された。
そのレースで最も能力評価が高い馬を10として、0から10までのポイントで能力評価を付けることで機械的な予想に近づけることが目的だ。
なお、ポイントの算出方法は個人が勘でつけることで成立するため、データや機械的な計測は一切用いられない。
そのため個人によって設定される数値は異なるが、競馬予想なんて誰がどうやろうと似たような数値になるため問題がない(という思想を信条にしている)
以下補足
競馬を見てある程度熱心に予想していれば誰でもある程度の予想は出来るようになる。
競馬の控除率は約25%(単勝複勝は2割)、つまり馬券収支75%というのが平均値であり最頻値であり偏差値50であるはずだ。
ここまで辿り着くのは全く難しいことではない。ある程度競馬を見ていれば誰でも辿り着くレベルだ。そして全く誇れることでもない。出資した額の4分の1を安定的に失っているのだから。
繰り返しになるがほとんどの競馬ファンの予想力は回収率75%程度なのだ。そこから上振れて100%を超える人もいれば、50%まで下振れる人もいる、ドツボにハマって全敗する人もおるだろう。
これを「競馬は究極的には運だから、下振れは仕方ない」と言って片付けることも可能だろうが、それではあまりに向上心がない。
回収率100%超えの人も、回収率50%の人も、予想力というのは75%前後のはずなのだ。
その中で勝てる人、負ける人が生まれるのは以下の3点の要素が大きい。
1 馬券の買い方が下手
2 フォームが崩れている
3 精神的に追い込まれている
1については言うまでもないだろう。ほとんどの人が身に覚えがあるはずだ。
2は好きな馬が出てるから買うとか、堅そうなレースだから掛け金をいつもの倍にするとかそういうやつである。推し馬馬券を買うのも競馬の楽しみ方なので否定はしないが、回収率を求める上では不要な考えだ。
掛け金については競馬界には「競馬で負けてるやつは堅いレースに大金を、穴狙いの時は少額を賭ける」という定説があり、私もそう思うので掛け金はなるべく一定にするべきだろう。
「買う気のないレースだったけど、直前になってやっぱりやりたくなった」とかもやはりフォームが崩れている。
3は人間不思議なもので負けが込むとまともな予想すら出来なくなる。堅いレースで穴を狙い波乱のレースで大本命を買うようになる。 競馬予想は予想力よりもメンタリティに依存する部分が大きい。
前置きが長くなったがSSP指数を用いることで上記のすべての問題を解決できると自負している。馬券の種類を選定してフォームを一定にし精神を保つことができる。実例を見ていこう。
※SSP指数は生まれたばかりの指数なのでフォーマットについては試行錯誤中につきグチャグチャなのはご了承願いたい。
2023安田記念
G1馬が10頭も出走した超豪華レース。最高能力評価のセリフォスを10としてソダシ、シュネルマイスター、ソングラインにそれぞれ9を付けた。9と10はほぼ差がないイメージだったので、今なら9.5にしても良かった。
ジャックドールの7-9は「左回りかつコーナーがキツく単騎逃げ」 の条件を満たした場合9、そうでなければ7という判断だ。他にも能力判定が難しい馬はある程度のバッファを持たせている。
このレースの性質は「強い馬が多すぎる」だろう。これだけ強い馬が多く、かつ東京1600というフェアなコースでは紛れが起こる余地がない。順当決着になる可能性が極めて高い。
一般的にこういう場合は見-ケン-が推奨されるが、安田記念においてはあまりにも実績馬が多すぎて票が分散し最高能力付近の馬のオッズが美味しくなるという現象が起きていた。
結果はソングライン-セリフォス-シュネルマイスターのやはり順当決着。
◎セリフォス
◎シュネルマイスター
◎ソングライン
▲ジャックドール
▲ソダシ
△ガイアフォース
の◎→◎▲△のカチカチ馬単で取ったが4240円も付いた。中穴のソウルラッシュやイルーシヴパンサーが過剰に売れる中で最高評価に近い馬だけを1着付けにするSSP指数の利点が出た。
最低12倍も付いていたメイケイエールの複勝を少し握っていたのは内緒だ。
エプソムカップ
残念安田記念という感じのメンバー構成になったエプソムカップ。 能力的にはジャスティンカフェが抜けていてエアロロノア、インダストリアが追従する形。
エアロロノアは反応が良すぎて東京コース&200mの距離延長が合ってないのではないかと考え、インダストリアは操縦性が極めて悪く、最大能力を発揮してもそこまで強くない(G3で8程度)のにかなり人気していた為消し。
そうなると最大評価かつ1600mでは位置取りの悪さが響いていたジャスティンカフェが突き抜けるのではないかと予想して単勝1点で予想。結果はジャスティンカフェ-ルージュエヴァイユ-マテンロウスカイの決着。
これまで馬込みに入れたら全く走らなかったルージュエヴァイユがHペースの中、外を回しながら先行し2着に食い込んだことでレース後に7→8に上方修正した。
以降ルージュエヴァイユは「ロスを覚悟で外に付ける」という戦術で好走を繰り返すようになる。
当たり前だが能力評価は間違えることも多いので間違っていたらその都度修正して精度を上げていこう。
悪い例
函館スプリントステークス
SSP表が残っておらずアレだが1番人気3倍のトウシンマカオが10でキミワクイーンが7程度だった。能力評価ではトウシンマカオが傑出しておりトウシンマカオの単勝1点で果敢に挑んだが1200のスプリント戦は実力通りに決まることの方が珍しい。1枠1番を引いたトウシンマカオは垂れてきたテイエムトッキュウが邪魔になり3着でキミワクイーンが差し切った。
スプリント戦、夏競馬、小倉、重不良馬場、開幕週、冬の中山、阪神3000m↑などは馬の能力以上に適性、展開、運が重視されるレースであり純粋な能力比較表であるSSP指数は有益どころかむしろ害をもたらす場合がある。注意してほしい。
マーメイドS
「マーメイドSは大波乱が起こるレース」と方方で騒がれ、なんかそんな感じのムードになっていたが去年10番人気で勝利したウインマイティーもその後重賞で堅実に走っているように能力のある馬だし、2着マリアエレーナ3着ソフトフルートなど馬の名前だけ見ればむしろ堅い決着である。同じ波乱でもオッズが付いただけのレースと本当に大波乱になったレースがあるが、前年のマーメイドSは前者だった。
今年のメンバー構成はウインマイティー、ビッグリボン、ストーリアの3強以外は条件戦すら勝ち上がれてない馬が多く、SSP指数でも7にも満たない馬がほとんどでありこんなレースでは荒れようがない。
結果は1番人気ビッグリボン-3番人気ウインマイティーの堅すぎる決着だったがそれでも謎に穴馬が売れていたために馬連1000円と配当はそこそこ付いた。
このように上位勢と下位勢であまりにも隔離がある場合、無闇な穴に走らないように数値化して可視化することにSSP指数の意義がある。いくらハンデが付こうが全く接戦になりようのないレースなのだ。
イクイノックスが強すぎてG1馬のジャスティンパレスやアスクビクターモアが6以下に甘んじるという恐ろしいレース。
これで買えるオッズならともかくイクイノックスは1.3倍。難しいコースである阪神2200m内回りであることも考慮すると到底買えるレースではないだろう。実際スルーセブンシーズにクビ差まで追い詰めれている。
0評価にしていたスルーセブンシーズの評価は4まで改めた。見直すと中山牝馬ステークスの内容が良くて0はやりすぎで2が適正だったかなぁと思う。それでも4は付けられないのでスルーセブンシーズのレースの中で間違いなくここが一番強かったと言えるだろう。
スルーセブンシーズ込みの馬連でも2340円しか付いてないのでこういうレースはしっかり見しましょう。
札幌記念
これも悪い例。川田の神通力で位置取り良く運んだプログノーシスが圧勝。
4馬身離してインをロスなく回したトップナイフが2着でソーヴァリアントが3着だった。
天皇賞やドバイでの走りからダノンベルーガを最高評価に押したがそれは左回りかつ2000m以下の場合。馬によって得意条件というのはやはりあるので札幌記念はそういう場ではなかった。高い評価をつけたジャックドール、シャフリヤールも共に沈んでいった。
これは札幌(洋芝)の稍重という特殊な馬場になっていたことも大きかった。(一般的に洋芝の稍重は東京の重馬場よりも馬場適性が問われると考えていい)
何度も言うが特殊な環境の競馬ではSSP指数はむしろ悪いバイアスになる可能性がある。注意してほしい。
セントライト記念
能力的にはソールオリエンスがトップも夏の中山の開催2週目ということでかなり前イン有利の環境に。 位置取りとコーナリングが悪く外枠のソールオリエンスはこの場合頭から切れる。勝ったのは内で完璧に立ち回ったレーベンスティールで、ソールオリエンスは流石の能力で2着に追い込んできた。
このようにトラックバイアスや展開を考慮して「最高評価の馬を切れるか?」を考えるのもSSPを使う上では重要だ。
ちなみにレーベンスティールを頭にソールオリエンス、セブンマジシャン、キングズレイン、ドゥラエレーデ、アームブランシュと紐荒れ狙いで幅広く買ったが普通にソールオリエンスが来て激安配当で無事トリガミになった。ソールオリエンスが来なかったら3着のシャザーンが来て外れるので怒りたくても怒れない。
こういう時どう買うのが正解なんでしょうね? 未だに分からない。
やはり見なのか、1.6倍の馬を頭から外せるのに。レーベンスティールの単勝を買う勇気はなかった。無念。
高いレベルで能力が拮抗してるレース。東京1800は超フェアなコースなので荒れようがない。勝ったのは順当にディヴィーナで2着ルージュエヴァイユ、3着ライラック、4着フィアスプライド、5着プレサージュリフトとSSP指数上位が独占した。
さて、今回のようなフェアなコースで強い馬が拮抗して並んだ状態だが、強い馬が4-5頭なら馬連か馬単を狙うのが良いと思う。4頭の内2頭がコケても2頭は確実に来るだろうから高確率での払い戻しが期待できる。
そして今回のような強い馬が6~8頭も居るパターン。これは最高評価の軸から三連複か三連単が良いと思う。同じ理屈で強い馬が6頭もいれば3頭コケても3頭来るからである。
そして強い馬が多いおかげで票が分散してある程度堅くても配当が付く。
私は強い馬が大量に居るのに馬連に甘えてキッチリガミりました(1敗)
秋華賞
どう考えてもリバティアイランドの1強レース。単勝オッズは1.1倍にまで届いた。ですがイクイノックスの宝塚記念とは似て非なるレースです。
・アスクビクターモアやジャスティンパレスが居たイクイノックスと違って相手になる同世代の牝馬が弱すぎる
・京都2000mはテクニカルなコースとはいえ阪神内回りほどのシビアなコースではない
こういう相手が弱すぎるかつコースや距離にも不満がない場合はいくら堅くてもリバティから行ってもオッケーです。
行ってオッケーということが決まれば相手探しだが、阪神JFでは2着12番人気のシンリョクカ、3着10番人気のドゥアイズ。オークスでは3着15番人気のドゥーラとこの世代はリバティアイランドが勝ち続ける一方で紐荒れが多発していた。SSP指数でもリバティアイランド以外の馬はほぼ差が内容に見える。
ただ、終わってみれば2着マスクトディーヴァ、3着ハーパーと1~3番人気で馬券内が埋まりカッチカチに。
では堅く小点数で行くべきだったのか? というとそうは思いません。SSP上ではリバティアイランド以外のメンバーはほぼ団子だし、実際にハーパー以下のドゥーラ、モリアーナはハナ差クビ差とほどんど差がない。(かなり強かったマスクトディーヴァは5→6に上方修正)
よって馬券戦略的には「堅い馬券も入れて引き分けを狙いつつ、上振れを祈って紐荒れを仕込んでおく」はそんなに間違いではなかったのでは(と信じている)
SSP指数を利用した馬券戦略例
1強盤石でその他弱い→単勝1.4倍、複勝1.2倍までなら1点買いでGO
1強盤石かつその他団子→↑で勝負できないオッズの場合。連系馬券で引き分けを狙いつつ紐荒れを狙う。あまり賢い馬券とは言えないが1強の場合勝負できる数少ない馬券。
1強に不安材料アリでその他団子→穴狙いでおk。不安材料というのはその馬のコース適正とかスプリント戦夏競馬小倉重不良馬場開幕週トラックバイアスなど
1強でその他団子→穴狙いでもいいが1強が取りこぼしても2着にくるケースが多い。連系に拘らず単勝で包囲網を敷くなど馬券に工夫がいる。
1強もその他強い馬複数→こういうケースでは1強がコケても他の強い馬が来るので結果的に穴が開かない。 そして1強も普通に来るので全く美味しくない。買うな。
1強と強い馬1頭→2頭コケる必要があるので超えるべきハードルは高いが穴が開けば跳ねる。ハートの強いギャンブラー向け。穴以外は買うな。
2強→買うな
2強その他弱→3~4倍程度のオッズなら単勝2点が成立する
3強→3強盤石なら3頭での馬連BOXが丸い。 3強の中に不安要素がある馬がいるならその中で見込んだ馬から軸に。いずれも小点数が大前提。不安要素のある馬が負ける時はキッチリ負ける馬なら紐荒れを狙う。
4~5強→ここまで揃うと1番人気が飛ぶ確率は高いので跳ねやすい馬単推奨。穴は開かない。この場合三連複や馬連は大体配当が終わってる。
6~8強→三連系一択。軸を外さなければ小点数でもほぼ当たる。最高評価の軸に迷う時は買うな。
波乱模様→波乱が予想されすぎてて逆に穴が来てもオッズがつかないパターン。夏競馬は大体コレ。んで堅い決着になる。自分の予想とオッズに乖離がないならケン推奨
SSP指数を作成してそのレースのメンバー構成がどういう傾向にあるのかを整理することで、↑の様な構図を可視化して馬券戦略が組みやすくなる。
SSP指数は一切客観的なデータや数値を用いないことで誰でも簡単に作れる指数となっている。
みんなもSSP指数を使って、当たり馬券、GETじゃぞ~~
SSP指数の改善点
・逃げ馬の数値が弱く出すぎてしまう。
スローの単騎逃げなどで恵まれて逃げると強いが逃げられなければ脆い。そんな逃げ馬は必然的に数値が低くなりがち。でも逃げが一発穴を開けるケースは少なくありません。
対策としては6-0 など単騎逃げが決まった場合の数値とそれ以外の時の数値を併記することで「逃げが決まった場合に制圧できるかどうか?」を考えれるようにしたい。
・先行馬の数値が弱く出すぎてしまう
先行馬が最内の好位を追走して勝つというのはありふれた光景。
それだけに恵まれたとして数値を弱く設定しがちですが、そういう馬は競馬が上手いタイプが多く不利な枠からでも先行を決めて恵まれてくるケースがある。
対策としては備考欄に先行力がどうか、今回は恵まれやすいかどうかを併記すること。
おまけ
期待値という言葉の罠
競馬には期待値という言葉がある。
曰く、「穴党本命党という分類ではなく、期待値の高い馬だけを買う。そうすればトータルでプラスに持っていける」ということで、成る程確かに真理だ。
期待値の高い馬だけを買い続ければ確実に儲けられるだろう。だって期待値の高い馬を買っているのだから。期待値が高いと判断すれば本命馬でも穴馬でも買う。買う馬は期待値の高さで決める。 まさしく究極の馬券術だ。どうしてみんな期待値で買わないんだろう?
ここまで言えば聡明な皆さんならお気づきのことかと思われます。聡明でない皆さんは一生期待値という真理を追い求めてください。
そう、期待値の高い馬だけを買えば儲けられるというのは確かに真理ですが、ほとんどの人間は期待値通りには馬券を買えません!
理由は色々ありますが、期待値という言葉が真理すぎる。というのが最大の問題です。
期待値という言葉を意識した時、ほとんどの人が5倍の馬よりも弱い20倍の馬を買ってしまうだろう。それらが能力拮抗だったり少し弱い程度、あるいはトラックバイアスで有利になる予想の上なら期待値という言葉に準じた予想と言えるでしょうが、大抵の場合は2ランクも下の馬をオッズに踊らされて買ってしまっているだけというのが実情です。
穴党を否定するために生み出された期待値という言葉はただの盲目な穴党を生み出してしまっているのです。負けたけど期待値に準じた馬券を買ってたからオッケーと心慰めてもその買い方で当てるのは難しいだろう。
では人気サイドならどうだろう。仮にイクイノックスの単勝が2.5倍とする。確かにこれは期待値的にも美味しく見えるが、僕は相手にリバティアイランドやドウデュースが出てくるなら2.5倍でも買いたくありません。小回りコースなら尚更。
当たり前ですが勝つとか負けるとか穴が開くとか順当かどうかというのは相手やコース適性、展開の上で初めて決まることで、その馬の期待値がどうとかでは判断できません。
「そういうところまで考慮して考えるのが期待値なんだよ」という声が聞こえてきそうで、実際そうでしょう。期待値という言葉は無敵すぎる。それが期待値理論の最大の魅力であり最大の弱点なんです。
期待値は馬券戦略の真理だが、期待値を始点に馬券を考え出すとドツボにはまるよという話でした。
最近問題になってる競馬AIの自動購入による締め切り直前のオッズ変動なんかは機械が機械的に「期待値の高い馬」だけを買ってるからなんですね。これが人間だと期待値を追い求める中で思考がブレていってこうはいきません。競馬予想は予想力ですが馬券戦略はメンタリティです。
我々人間がこのような期待値思考の沼にハマらない為にはそのレースに出てくる馬の能力を比較してそのレースがどういう構図のレースなのか、可視化して整理することが大事です。
つまり、SSP指数、使おう!!