本格的に絵をやり始めて3年ぐらい経ったんですが(Pixiv調べ)
ついに理想の絵が描けました。その再現性を高める意味でも備忘録的に理想の絵が描けた理由を書いておきます。
可愛いですね。
これが私の理想の絵です。
- 良い絵を描けるようになるには良い絵を描く必要がある
格闘ゲームなどの対人ゲームにおいては、押せないコンボや出来ない動きがあったらそれが出来るようになるまでトレモに籠もり続けて出来るようになるのが最も最速で、唯一の上達方法です。実践の中で上達する要素が極めて少ないと言い換えてもいいでしょう。
これが絵の場合、「良い絵を描く」ことでしか上達が見込めません。
良い絵が描けるようになるために良い絵を描く必要があるという、古龍を狩るために古龍の武具が必要になるようなジレンマがあります。
言い換えれば練習で上達する要素が極めて少なく、実戦の繰り返しで上達していくのが絵です。
模写やデッサンを100枚描けば何かしらの技術向上は見込めるかもしれませんが、それで良い絵が描けるようになるわけではない。
出来ないことはしない
手が描けないなら手を隠した方が、服が描けないなら全裸にした方が良い絵になる確率は上がります。極論ですが、まあそういうもんだと思って受け入れていただきたい
私の場合の「出来ないこと」は「構図やポーズを0から着想する」でした。
それって絵のすべてじゃん、と思われる方もおらっしゃるかもしれないが、それって絵のすべてなんですよ……!!
なので、これが出来ないお陰で私はこれまでずっと絵が描けませんでした。
そして、それは今も出来ません。
ただ、出来なくても済むような方法を模索しました。
例えば上記の絵のポーズは最近発表されたミリシタの新曲、Luvliminal imageのMVから引用していますし
また、この絵はゆゆ式5話アイキャッチのパクリオマージュですね。
(伝わらなかったらどうしようとソワソワしていた)
この他にもあらゆる方法で出来ないことをやらなくて済むようにしています。
流石に半分ぐらいは自分で考えて描かざるを得ないのですが、その時でも今頑張って描けば未来でポーズを使い回せると思えば気が楽になりますし、頑張る気持ちも湧いてくるはずです。本当かどうかは知りません。
自分の場合はラーメン発見伝で言うところのアレンジャー気質の人間であり(というか大体の人間がそうなのでは)、0から1を作るのは苦手だが1を元に2や3にしていくのは結構得意というか好きなのでこういう方法が通用しています。
世の中にはラフを描くのは好きだけど仕上げるのは苦手という変わった人間も相当数いるようで、そういう人たちとは真逆の性質ということなのでしょう。
余談ですがたまにやってる人がいるAIイラストを下敷きに描くやつは難易度が高くて基本的に微妙な仕上がりにしかならないのでオススメしません。
AIイラストの人体が歪みやすいポイントを理解していたり、とっかかりとして利用できる力量のある人がやって初めて有用になると思います。
- 自分に出来る方法でやる
私はずっと大陸系の厚塗りに憧れており、厚塗りっぽい感じの塗りに何度も挑戦しては派手に失敗していました。
それでも大陸系っぽい絵をやる気持ちを捨てられなかった頃に、ラーメン発見伝の藤本クンよろしく自分の萌えの原体験であるマビノギの立ち絵を見返しました。
これや!!!!!!!
すごい!!!!!!!!!!
20年近く前のゲームですが現代基準においても相当萌えている。
自分の原体験はここにあったんだ!!!!!
そして何より、この工数の少ない塗りなら自分にも出来そうという勇気を与えてくれます。
お笑い芸人やライトノベル、小説家になろうやWEB漫画など、近代の多くの文化は「自分にも出来そう」という自惚れによって隆盛したはずです。
というわけで、こういう系統の工数の少ない塗りでメチャ萌えイラストを描いてる韓国人絵師をTwitterのパワーで4~5人見つけ、それを参考に研究して自分でも出来るように塗りを構築しました。
出来ないことはやっても出来ないので、出来る方法に切り替えるのは大事だと思います。
所謂いつもTwitterで言ってる腕を下げろバットを短く持てというやつです。
出来たこともしない
実はというほどのことでもないですが、左のラフの顔の部分は以前描いた絵(右)の顔をそのまま引っ張ってきてます。目や塗りに至っては一切描いてません。
手はこの前手をたくさん描いて練習したデータの山の中からコピー&ペーストして左右反転しています。
なのでこのラフで描いたのは服装の装飾の部分だけなんですね。
なんてエコなんでしょう。
さっきから手抜きの話しかしてない気がしますね。
後述しますがここで手を抜いた分が後々生きてきます。
- 常に上手くなり続ける
流石に以前描いた絵そのまんまコピーというのもアレなので修正を加えるんですが、自信のある作品を元に改めて修正を加えると、なんと常に自分の最高得点を更新し続けることができます。
出発点が自分の自信作なので、最低でもここには辿り着くという最低保証があります。
そうやって描いた今回の手や顔もデータベースに保存して、次回使うときに持ち出せば理論上は常に上手くなり続けることができる。(本当か?)
少なくとも、似たような構図の絵を描く時は以前描いた絵を下敷きにすればいいので、手間をグッと減らすことができます。
これも後述しますが、絵を良くするためには手間や面倒を減らすことが本当に大事だと思います。
- 原作を無視する
さっきの比較ですが、元の設定や衣装にはヘッドバンドなんてありません。(百瀬莉緒というキャラクターだけ付けてる)
じゃあなんで私の絵では付けてるのかというと、付けてた方が可愛いと思ったからですね。
あとイヤリングもちゃんとこの衣装のデザインが設定されてるんですが、描くの面倒そうだしあんまりこの絵には合わなそうなので勝手にデザイン変えてます。
よーみたら髪の色も目の色も原作とはぜーんぜん違います。
昔は自分も原作通りの設定で描かなきゃと思ってたんですが、 そこはある程度無視した方が逆に原作に似ると思うようになりました。
1から10までアニメーターのように合わせるならともかく、原作の雰囲気なんていうのはどの作品も唯一無二なので、中途半端に合わせに行くよりは自分にやりやすい方に方にと変えていった方が魅力は出やすいと思います。
というかそもそも原作の時点で絵柄から目の色髪の色まで全然違うんだから、絵の雰囲気に合う選択をその都度やっていくのが良いはず。
替え歌をツイートする
フォロワーちゃんがくれた強さ抱きしめて
— レトテイ (@retokasu) April 17, 2025
いつの日にか きっと……
Twitterとかいう青春サイダー
— レトテイ (@retokasu) May 20, 2025
コバルト色のスコール降りそそぐ
こんなクソみたいなツイートばっかりしてるアカウントをリムーブしないでいてくれるフォロワーちゃんは菩薩か何か?
- 手を抜いたことで一番大事な要素(コンセプト性)に注力できた
増山修(超スゴイアニメの美術監督)曰く、絵において最も重要な要素はコンセプトと設定だという。
俺たちはどうしても絵が上手くいかない時は、あわよくば良くなってほしいという祈りを込めて小手先の修正に時間を費やしてしまうが、上手くいかない時はそれ以前の工程が間違っている場合がほとんどです。
つまり、失敗してんだからバッサリ直せという身も蓋もない話になるのだが、人間が1つの絵に込められるガッツ値は限られている。
それは人によっては20かもしれないし、1000かもしれないのだが、とにかく限られている。
ここまで何時間もかけて頑張って描いてきた絵をバッサリ切り捨てて修正できるようなガッツ溢れる人間など、そう多くはいないだろう。
そこで重要なのが、ガッツ値を温存することです。
上の絵で言うならば顔や手は丸々コピー&ペーストなのでほとんど描く労力を使っておらず、残りのコンセプト性や絵の全体のイメージをまとめることにガッツの大部分を投入することができました。
労力を大して使っていないのだから、直すことにも抵抗がありません。
絵において最も重要なのはコンセプト性なのに、多くの人は(類に漏れず自分も)そうではない小手先の作業にガッツ値の大半を持っていかれてるという現状があります。
上述のような工夫をもって、手抜きに手抜きに手抜きを重ねることで、絵において最も重要な工程であるコンセプト性に多くのガッツ値を回すことができました。
ここまで露骨な手抜きをしなくても、コンセプトが最も重要でそこに労力の大部分を割く。という意識配分ができるだけで随分と変わってくると思います。
蜘蛛の糸を1本1本取り除くように色を塗る
塗りの工程は基本的には最終工程なので、ハッキリ言ってガッツ値が全く残っていません。
なのでこれまでは、最も絵のイメージを左右する重要な工程なのにヘロヘロの状態で塗りをやっていい加減になってしまっていました。
それが今回は無数の手抜きを以てガッツ値を温存したことで、塗りの局面にも大量のガッツを投入できるようになりました。
具体的な話は難しいんですが、蜘蛛の糸を1本1本除去していくようにこの色でいいのかこの塗りでいいのかを確かめながら慎重に塗り進めることで、今までのどこか投げやりにやってた塗りと比べて随分良くなりました。
丁寧にやろう!(普通)
余談
ほとんどの人は絵の描き始めは慎重に、作業が進むにつれて描き慣れてくるといい加減で大雑把になっていく傾向にあります。
しかし絵はここまで書いてきたように、序盤は大雑把に進行し労力を温存し、後半は慎重に進めた方が上手くいきやすいです。
この意識の転換が大事なんですがまあ言うは易しです。
終盤の寄せの部分は大事だから丁寧にやろう!(普通)
余計な影は自信のなさの現れ
これは未熟な人の絵あるあるなんですがほんまに影がゴチャゴチャしてます。
影がゴチャゴチャすることで何を表現してるのかどんなシワなのかがよく分からなくなってるし、全体的に汚い印象も感じさせます。
勿論僕もそうだ!
これまでの自分は影をゴチャゴチャ置くことでなんとか誤魔化そうとしてたんですが、本当に良い絵というのは影なんて塗らなくても下塗りで色を置いただけの状態でもよく見えるもんだということに気付きました。
我々がプロクラスの超絶スゴイ塗り技法を持っているならともかく、下塗りの状態でよく見えない絵はしっかり影をつけてそれっぽくしてもたかが知れているのだから線画から見直すべきでしょう。
逆に、色を置いただけの下塗りの状態で、それでもよく見えるんだったら(ほとんどないことだが!)、その絵はどうやっても上手くいくから自信を持って塗れるはずだ。
自信がある限り、ゴチャゴチャした余計な影をつけて絵を汚すこともなくシンプルに塗れるはずです。これは精神の話なのでそう思えばそうなります。
- おわりだよ~
ここまで書いておいてなんですが絵は個々人によって方法も目標もまるで違うのであまり参考にはならないと思います。
例えば厚塗りやラフを描くのが得意な人にとって大事なのはここに書いたことは全く正反対のことかもしれません。
また、ハウトゥ系の本や動画を読み漁ったときによく言われていた
「トリミングはキャラを目いっぱいに入れよう」
「立体を意識しよう」
というアドバイスを敢えて無視するようになってから、私は一気に描けるようになりました。
人の教えなんてものはシカトしてナンボですな。
「手抜きをしよう」なんてことを教える教師はいませんが、実際に自分は手抜きをすることで理想の絵が描けるようになりました。
結局こういう分野では個々人の属人性が強すぎて誰かの劣化コピーにすらなれないのだから、自分に合うフォームを自分で発明するしかないんでしょう。
人の話をよく聞いて、その上で自分にあう選択肢を試しながら取捨選択していくのが大事なんだと思います(普通)
じゃあ、オレはSwitch2を使ってウイニングポスト2025でハクタイユーの系統確立するから……
良くないものって思考の手順が間違いなことが7割ぐらいな気がする
— 山本健 (@ponpokopi128) March 9, 2025