2020/03/14

映画を見た5 氷菓



省エネ主義をモットーとする折木奉太郎は、姉の命令で部員ゼロで廃部寸前だった古典部に入部する。
そこに一身上の都合で名家の令嬢・千反田えるも入部。
好奇心旺盛なえるに引っ張られた奉太郎は、潜在的な推理力を開花させ、学園に潜む謎を解き明かしていく。

90点


お世辞にもこの映画の評判は良くない。
「氷菓 実写」で検索すると「爆死」「ひどい」 といった実写化映画あるあるのサジェストが出てくるし、実際に売り上げや観客動員は全く芳しくなかったそうだ。
アニメ版が京都アニメーション制作で高いクオリティを誇ったこともありハードルが上がっているのは否めないが、それにしたってこの映画のウーン感は中々のものだ。

データベースは結論を云々

主役、折木奉太郎の友人役の福部里志役の人は中々エキセントリックな顔立ちをしている。これはこれで里志のウザさが出ていて良さもあるのだが、原作ではそれなりに容姿が整っていると評されている里志役がこの演者というのは初見のインパクトは絶大だ。




私、気になります!

そしてヒロイン千反田える役の広瀬アリスという役者。この役者が問題だ。
素人目に見ても演技が下手で粗が目立つし、顔がケバ濃すぎて田舎の豪農の娘という感じが全くしない。
原作~アニメのえるたそが好きな人ほど拒絶反応は大きいのではないか。





何より度肝を抜いたのが舞台となる神山高校の校舎だ。
グラウンドを踏み荒らさないと校舎まで辿り着けない驚愕の構造に目がいくが問題はそこではない。





アニメ、氷菓で描かれる神山高校は作者米澤穂信の母校もである岐阜県立斐太高等学校が忠実に再現されている。
氷菓の舞台はまさしく岐阜なので斐太高校を舞台とするのは何ら自然なことだ。
それが全く違う校舎になっていたショックは大きかった。

↑の校舎は群馬県にある校舎で、使用されたのは外観のみらしい(内装は栃木県の校舎を使ったようだ)
中の使用は難しくとも、外観のみの撮影なら斐太高校でも可能だったのではないかと思わざるを得ない。
何よりグラウンドを踏み荒らさないと校舎まで辿り着けない構造がおかしい。


奥の部屋

そしておかしいのが古典部の部室だ。
古典部というのは部室棟の片隅にある小さな部室……のはずだが、この映画の古典部はどう見ても音楽室だろという場所にある。





部屋の中もまるで音楽室かのように広い
こんなにスイッチがたくさん付いてる古典部があってたまるか!
隠す努力ぐらいはしてくれ……







と、ここまでこき下ろしたが実写版氷菓だが、感想としては非常に良い映画だった。




中盤からはアニメ版でも使用された岐阜県高山市の聖地をふんだんに使用することで氷菓感を増してきたし、千反田家の豪邸などは雰囲気が出ていてとても良かった。

原作やアニメでは淡々と進められていった氷菓の真相も映画版ではドラマチックに仕立て上げられていた。
原作の淡々とした雰囲気が好きだという人もいるだろうが、1本の映画として私はこの実写版の演出が好きだ。
折木奉太郎のバラ色の青春観と関谷純の青春のリンクも分かりやすく行われており、この映画で初めて氷菓に触れる人でも十分楽しめる作品に仕上がっていたと思う。
むしろこの映画で氷菓に初めて触れることで先入観なく実写を楽しみ、そこから原作orアニメを見ていくのが最も効率的な氷菓の楽しみ方ではないかという気さえしてくる。


氷菓ファンの人はビジュアルを飲み込むのに時間がかかると思うが、中々どうして良い作品なので食わず嫌いをせずに是非見て欲しい。アマプラやNetflixなど各種サイトでどこでも見れる作品のはずだ。