実力が未知数の選手の能力を図る指標として、奪三振率を重視するという考え方があります。
野球はボールにバットを当てて点を入れる競技なので、ボールにバットを当てさせない能力が高い投手は良いということですね。
回りくどい言い方になりましたが、早い話が三振が取れる投手は球のパワーがあるということです。
勿論岩隈など打たせて取るタイプの好投手も世の中には沢山居るわけで、一概に奪三振率が高ければ良い、低ければ悪いというモノではないのですが、今回は1~2軍における奪三振率
だけを見て12球団期待の若手を発掘していこうという試みをやっていきます。
大雑把な基準として2軍で奪三振率11.0以上。1軍で奪三振率9.8以上の投手をピックアップしていきます。
巨人
該当者 なし
居ませんでした。2軍で最も高い奪三振率の投手が森福(11.6)です。
該当するほど高い訳ではないですが鍬原は2軍50三振で奪三振率10.5と期待が持てる数字。
ただ昨年の奪三振率が11.8だったことを考えるとやや物足りなさはあります。
他にも大江や堀岡など三振奪取能力の高い選手は数多く居ますが、飛び抜けた選手は不在。
横浜
国吉佑樹 28歳
1軍奪三振率
10.5 81奪三振
2軍未登板
若手かどうかは置いておいて、1軍で81三振を奪い奪三振率10.5は驚異的。
昨年もイースタンで奪三振率11.9を記録するなど三振を奪う能力は1軍、2軍を問わず圧倒的。
昔はここまで三振を取れる投手ではなかったので、160kmを記録したことからも成長を遂げたと見て間違いないだろう。
進藤拓也 27歳
1軍奪三振率 6.4 5奪三振
2軍奪三振率
13.7 62奪三振
メガネをかけて横手から150kmを超えるボールを投げ込むパワーサイド。
2軍奪三振率は驚異の13.7!!!???
1軍では先発として起用されるもデッドボールをぶつけまくり防御率9.00と結果は残せなかった。
阪神
尾仲祐哉 25歳
1軍奪三振率 9.5 6奪三振
2軍奪三振率
11.2 53奪三振
ルーキーでありながら大和の人的補償で横浜から阪神に移籍した右腕。
球速は並だが、スライダーとカットボールを武器に三振を奪う。
1年目に2軍で防御率1.38 奪三振率12.6を記録したことを思えば今年の2軍防御率4.25というのはかなり物足りない。
広島
島内颯太郎 23歳
1軍奪三振率
10.3 33奪三振
2軍奪三振率
8.1 19奪三振
登板機会の関係で数は稼げなかったものの、ルーキーでありながら1軍奪三振10.3とかなり有望な成績に。
なんと言っても面白いのが球種構成で投球の74%以上がストレート!
三振もストレートで奪いまくっています。またフォークの被打率は.000という数字がキラりと光る。
チェンジアップを交える器用さもあり、広島の藤川球児になるかもしれない。
30歳の立派な一軍主力戦力なので取り上げませんでしたが中村恭平は1軍奪三振率11.7と素晴らしい成績。
今年ブレイクした遅咲きの投手ですが、球威が落ちない限りは一発屋に終わる可能性は低そうです。
中日
藤嶋健人 21歳
1軍奪三振率
10.3 35奪三振
2軍奪三振率
9.0 4奪三振
キンブレルのモノマネをした鈴木博志はシーズン途中で守護神を剥奪される無念のシーズンに終わったが、上原のモノマネをした藤嶋は見事台頭に成功。
血行障害を発症し手術を受けるなど万全のシーズンではなかったが、中盤に昇格すると21試合を連続無失点に抑えるなど若い力で中日のブルペンを支えた。
サンプルは多くはないが、ストレートの被打率.140 空振り率14%は見事の一言。そこにキレるフォークを交えて三振を奪っていく。
制球も良く、若いながらも完成度の高い好投手。
ヤクルト
中尾輝 25歳
1軍奪三振率
11.5 18奪三振
2軍奪三振率
11.8 48奪三振
前年に54登板してるので取り上げるのはどうかと思いましたが1、2軍双方での奪三振率の高さからピックアップ。
ストレート、スライダー、フォークで構成するオーソドックスなリリーフタイプ。
今季は故障もあり1軍では防御率8.36。2軍でも防御率4点台に終わりましたが球の力は依然としてあるので、万全に投げられれば活躍できそうです。
西武
平良海馬 20歳
1軍奪三振率 8.6 23奪三振
2軍奪三振率
12.3 22奪三振
皆さんご存知沖縄の158km右腕。平均球速150kmオーバーの直球は超弩級。
20歳でコレなのだからあと数年もしたら160kmは間違いなく出すであろう豪腕。
スピードは正義。
本来平良の役割をやるべき中塚さんは2軍で何故か三振が取れないでいる。
ソフトバンク
該当者 なし
プロスペクトが山程いそうなソフトバンクは何故か該当ナシ!
というのもホークスの2軍はある程度1軍に近い投手が登板することが多く、荒削りな投手は3軍を主戦場にしているために2軍成績では有望株は分からないんですね。
なので3軍を主戦場にしている有望株を紹介します。
3軍は通常の2軍相手の他、教育リーグ、独立リーグ、大学や社会人、3軍同士の試合を含むのである程度成績にバイアスはかけてください。
尾形崇斗 20歳
2軍奪三振率 0.00 0奪三振
3軍奪三振率
14.3 104奪三振
フェニックス
20.2 18奪三振
台湾WL
17.7 23奪三振
一部界隈ではかなり有名で全然隠れてない隠れた逸材。
育成2年目でありながら3軍で104奪三振をマーク。奪三振率は驚異の
14.3!!!???????
2軍では2失点で降板し防御率27.0と奮わなかったものの、ホークスの3軍を代表するトッププロスペクト。
フェニックスでも
奪三振率20.25を記録するなどその能力は圧倒的。
現在は140km台の直球でバッタバッタと三振を奪いまくっているが、これで球速が上がるともう手が付けられない。鷹の第二の千賀候補。
160km左腕の古谷は2軍での奪三振率が抜けていないので今回は省略します。
楽天
小野郁 23歳
1軍奪三振率 6.7 14奪三振
2軍奪三振率
12.5 53奪三振
これも一部界隈では有名な全然隠れてないプロスペクト。
2軍では守護神として毎年抜群の成績を残すも、1軍ではまだ厳しいという壁に悩んでいたところを鈴木大地のFA補償でロッテへ移籍。
今季は奪三振率が一気に増加。新天地での活躍に期待しましょう。
千葉ロッテ
該当者 なし
石崎の奪三振が13.1と圧倒的ですが投球回が少なく29歳、1軍では奮わなかったことから今回は除外。
先発ローテーションの柱としてフォークを武器に今季ブレイクした21歳の種市は1軍で135奪三振を奪い奪三振率10.4と好成績を収めています。
今季は楽天から小野を獲得したので、該当者はあるといえばある。
日本ハム
西村天裕 26歳
1軍奪三振率
11.8 55奪三振
2軍奪三振率 9.7 21奪三振
150kmオーバーを計測する社会人右腕。
2年目となる去年は1軍での奪三振率11.8という破格の成績をマーク。
投球の8割を占めるストレートとスライダーの球威は並だが、必殺球のフォークが被打率.000 空振り率30%と圧倒的。
フォークを主体にするピッチングではなく、ストレートとスライダーで組み立てて不意にフォークを交えるスタイルだ。
回跨ぎをこなせるタフさがありショートスターターに挑んでいる日ハムでは今年も重宝されるだろう。
オリックス
吉田凌 22歳
1軍奪三振率 4.1 2奪三振
2軍奪三振率
12.8 37奪三振
また吉田だ! また吉田だ!
2軍では最大の武器であるスライダーを駆使して防御率1.38をマークし無双するも1軍では通用しなかった。
スピードは決して速くはなく、スライダー以外に武器はないため正直これまでのメンバーと比べるとロマンという点では数段落ちる。
ただやはりスライダーは良いので、数年後には中継ぎで30~40試合登板はしていそう。名前といいそういう意味でも実にオリックスらしい選手。
おわり
一人でも多くのプロスペクトが1軍戦力になるといいですね