2026/03/20

筆を折るとは

筆を折るという言葉がある。
端的に言うとインターネット語で創作活動の引退宣言のことである。
私はこの言葉について随分懐疑的です。
 
というのも、「どうせ引退詐欺だろ」「かまってちゃん乙」みたいな話をしたいわけではないんです。
私は以前Pixivでジュリアちゃんの投稿を全て遡るという遊びをしたことがありますが、その5~12年前のPixivでイラストを投稿しているアカウントで、現在もイラストを投稿しているアカウント(Xも含めて)はほとんど居なかったからです。
まだ絵が未熟なアマチュアは勿論、プロ級に上手い神絵師も描かなくなっていました。
まあこれは当然というか、趣味なんて3年も続けば十分長い方です。特に絵なんていう苦行をんな5年も10年も続けるような人間などほとんどいないということでしょう。
 
 
それでも描き続けていた極少数の人は
1.順当に上手くなって神絵師に
2.信じられないぐらい上手くなってハイパーゴッド神絵師になりブルアカの公式漫画家とかになる
3.絵柄の更新をしたりせず、投稿頻度も年に1~2と下げることで負荷を下げて細々と継続している人
 
の大まかな3パータンに分かれていきました。(2はほぼ名指しやね)
 
 
別に5~10年の長いスパンに区切らなくとも、大体のインターネッツにいる活動歴の若い神絵師は3年もすれば半分は消えていなくなります。学業、就職、恋愛……(ジャンルを変えただけというのも多そうですが…) 
絵を投稿すれば万で持て囃される神絵師ですらこうなのだから、場末の零細絵師なんてのはこの比ではありません。初心者で3年も描き続けられる人は真面目に1割も居ないと思います。
5%もいるでしょうか。 1%ぐらいかな。
 
 
つまり、筆は「折れる」状態が自然であり、ほとんどの人間はドシドシと折れていってしまう。
だから「筆を折る」というのはなんら特殊なイベントというわけでもなく、電池が切れるとか人が寿命で亡くなるぐらい自然なことなんです。
むしろ筆を折らずに続ける人間の方が異常なんでしょう。
 
神絵師が筆を折るというとショックな出来事に見えるけど、実態としては「おっ、ここまでかー」 ぐらいにはありふれたことです。
特に初心者の筆はその比じゃないぐらいボキボキ折れている。今この瞬間にも初心者が筆を折っています。ボキィ!
そして、この話には山もオチもありません。 
 
 
 
 
以下余談
 
何故筆が折れるのか。それはまあ端的に言うと「飽きる」からでしょう。
どんな面白いゲームでも3年5年遊んだら基本的に飽きます。
10年近く同じゲームを遊んでるような人はそれはもう日課であって面白いとか楽しいとかそういう次元ではないでしょう。
 
しかも絵を描く人は「絵を描くのは楽しい!」なんて……
ふっ……、信じられない、面白いことを言ってのけるような人が多い。そういう人たちが3年後も絵を描いてる割合がどの程度あるのでしょうか。 
楽しいからやっているものはいつか必ず飽きます。だって楽しいんだから。
5年楽しんでいる人も6年目で飽きるかもしれないし、10年楽しんでいる人は11年目で飽きるかもしれない。
飽きるというネガティヴな言い方をしなくても他にもっと面白いことが見つかれば必然的に余暇のプライオリティはそちらに傾いていくでしょう。
 
 
自分が絵を描き続けられたのは、楽しくなかったからです。
私にとって絵とは仕事のようなもので、嫌な気持ちでPCの前に向かって体調を悪くしながら6~10時間作業すればなんとか成果物が出来て、その成果物に納得がいかなくてまた嫌な気持ちになるという嫌な趣味です。
楽しくないのだから飽きるとかはありませんでした。
実際、Twitterなどを見ていても絵を描くのが辛い、苦しい、嫌だと言っている人ほど描き続けている傾向にあります。
 
絵心のないオタクがなんでそんなことをやってるんだと言われたら、これはもう意地とかプライドとか負けず嫌いと言う他ありません。
特に才能があって周りからチヤホヤされて絵を描くことが楽しいなんて言えるような、恵まれた奴らに苦しみながら、絵を描くのが嫌いなまま勝ちたいという球磨川禊みたいな歪んだ情念が自分の原動力でした。 
 
あとフォロワーを神絵師にするというメソッドの開発も目的にありましたが、前述したようにほとんどの初心者は3年も続けられないということが肌感覚で分かってきたので、最近は既にある程度描いてる人を手っ取り早く底上げするためのメソッドの開発に切り替えています。 

 
まあだから、楽しんでいないので自分の場合は飽きずに続けられる。
そう言い聞かせながらも、しかしいつ飽きが来るかもしれない。もしかしたら自分は口では楽しくないと言いつつ楽しんでいるのかもしれない。今は描けていても来年には飽きているかもしれない。あの時憎んでいた「絵を描くことを楽しいという絵師」に自分もなっているのかも。そういう恐怖がある。 
いつ消えるか分からない自分の炎を頼りに暗闇を進むしかないのだろう。
そして、この話には山もオチもありません。 じゃんじゃん